塩ビシート防水とは?施工方法や特徴、メリット・デメリットをご紹介
「塩ビシート防水について詳しく知りたい。」「塩ビシート防水のメリットってなに?」「費用ってどれくらいかかるんだろう?」
と思っている方も多いのではないでしょうか。
塩ビシートはマンションやビルなどの大規模な防水工事に最適な素材です。
耐用年数が長く、メンテナンスの費用もかからないなどの多くのメリットがありますが、もちろんデメリットも存在します。
この記事では、塩ビシート防水についての工法の特徴や、メリット・デメリットについて解説しています。
また、季節ごとの施工方法の注意点や施工費用についてもお伝えしています。
塩ビシート防水での防水工事を検討している方はぜひ最後までご覧ください。
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塩ビシート防水とは、塩化ビニール樹脂で作られた塩ビシートを、下地または緩衝材の上に貼って防水層を作る防水工事です。
主に鉄骨造の建物に多く用いられますが、基本的にどのような構造の建物にも短納期での施工が可能です。
シート自体に伸縮性があるため建物の揺れや動きに非常に強く、日光による紫外線や熱、オゾンに対しても耐久性をもつため、15年から20年の高い耐久性があります。
塩ビシートは素材自体にあらかじめ着色されており、耐摩耗性、耐候性、耐圧縮性、耐熱性などに優れます。
そのため、ほかの防水工事で一般的にメンテナンスが必要とされている保護塗装が原則不要となり、維持管理費の節約が可能なため、ほかの防水工事と比べ、中長期でみても低コストが特徴です。
また、保護塗料を保証期間内で塗り劣化を防ぎ、さらに耐久性を高めることが可能です。
塩ビシート防水の施工方法2種
塩ビシート防水の施工方法は、「接着工法」と「機械固定工法」の2種類です。
シートを1層敷きこむだけで終わるため、一見手軽そうに思われますが、施工の際は季節によって注意しなければいけない点があります。
密着工法の特徴と季節による注意点
密着工法とは、下地にそのまま接着剤を塗布し塩ビシートを接着させる方法です。直接シートを接着させるため、風圧で飛ぶのを防げる特徴があります。施工する際には必要な道具が少なく、工期も短いため非常に安価に施工が可能です。
注意点として、シートを直接密着させるため下地の影響を受けやすく、下地が劣化している場合、下地を補修し、防水層への影響を防ぐ必要があります。また、接着剤や溶剤などを用いてシート同士や下地とシートを固定する際、冬場は気温が低くくっつきにくくなる傾向が高いです。
原則、接着剤や溶剤は気温5℃以下では使用してはいけないルールがあるため、冬場は密着工法を用いての施工はできない可能性があります。
機械固定工法の特徴と季節による注意点
機械固定工法とは、シートを既存防水層の緩衝を受けないように固定ディスクと呼ばれる道具を使って絶縁して、直接下地と接着しないようにする方法です。
下地と密着しないため通気性が良く、湿気を逃すため劣化しにくい特徴があります。下地の状態や工法にほとんど影響を受けないため、必要最低限の補修や処理を行うだけで施工が可能です。
注意点は夏場と冬場での施工方法です。夏場はシート表面にテカリが生じやすく、熱しすぎてしまいテカリが生じるとシートが薄く伸びて防水層が不十分な厚さになるケースが多いため、施工後に濡れ雑巾などで温度を冷ます必要があります。
冬場はシートがかたくなり、普段と同じ感覚で施工した場合、きちんと接着できていないケースがあります。そのため、温度を高める・温める秒数を長くするといった夏場とは違う設定が必要です。
塩ビシート防水のメリット・デメリット
塩ビシート防水のメリット・デメリットを表にまとめたので、ぜひご覧ください。
メリット | デメリット |
下地を選ばずに施工出来る耐久性に優れている工事期間が短い | 複雑な形状は施工出来ない工事中の振動が大きく入居者へ事前に説明をしないとトラブルにつながる可能性がある業者が少ない |
メリット・デメリットについて詳しく説明します。
塩ビシート防水のメリット
塩ビシート防水のメリットは主に3つです。
- 下地を選ばずに施工できる
下地を平滑にできれば塩ビシートを被せて施工ができるため、既存の防水層が塩ビシート防水以外でも簡単に施工できます。
「密着工法」の場合は下地の影響を受けやすいですが、「機械固定工法」の場合は通気性が良く湿気の影響を受けにくいため、下地による影響はありません。
- 耐久性に優れている
塩ビシート防水は、防水工事の中で特に耐久性に優れており、耐用年数は保証期間内にメンテナンスをせずとも10年〜15年です。
そのため、定期的なメンテナンスの実施が難しいマンションやビルにおすすめです。
- 工事期間が短い
シートの厚さが一定になっているため、ムラなく1度に広い範囲の施工ができます。乾燥工程も1回のため、工事期間が短いです。
防水工事の種類ごとに簡単に比較表を作成しました。
塩ビシート防水 | ウレタン防水 | アスファルト防水 | |
複雑な箇所への施工 | × | ◎ | △ |
耐久性 | ◯ | △ | ◎ |
メンテナンス性 | ◎ | ◯ | △ |
施工期間 | ◎ | ◯ | △ |
メンテナンス性・施工期間がほかの防水工事と比べ優れているとわかります。
塩ビシート防水のデメリット
塩ビシート防水のデメリットは主に3つです。
- 複雑な形状は施工できない
凹凸がある場所や室外機などの固定している物が多い場合、細かくサイズ調整ができないため均一にシートを敷くことが不可能です。無理やり施工した場合、隙間から雨水が入る可能性があります。
- 工事中の振動や騒音
機械固定工法で施工する場合、工事中には建物に振動や機械音が発生します。大きな音がなりトラブルに発展する可能性もあるため、機械工法を選択した際には事前に入居者の方へ説明をおこないましょう。
- 施工業者の見極めが重要
塩ビシート防水は施工の際には季節ごとの配慮が必要など、難易度が高くなる工法です。そのため、実績が少ない施工業者も多く存在します。
塩ビシートに適した施工箇所か、工法はどちらにするか、などを判断するためには十分な知識が必要です。施工実績を写真でも明示しているかきちんと確認をしたうえで、実績から技術力の高い施工業者をしっかり見極めましょう。
塩ビシート防水の相場と業者選びのポイント
塩ビシート防水の単価相場をお伝えするので参考にしてください。
名称 | 数量 | 単価 |
ケレン清掃 | 76.9㎡ | ¥150 |
改修ドレン撤去・新規取付 | 5.0箇所 | ¥18,000 |
塩ビ鋼板取付 | 81.2m | ¥2,000 |
塩ビシート防水 平面 | 57.7㎡ | ¥4,800 |
塩ビシート防水 上面 | 31.9m | ¥3,000 |
荷揚げ荷下げ費 | 76.9㎡ | ¥300 |
防水工事には、塩ビシートの費用だけでなく、清掃や廃材の処理費用などの費用も発生します。
そのため同じ工法でも業者によって費用が大きく変わる場合があり、業者選びの際には相見積もりを取る必要があります。相見積もりで注意して確認する点は主に3つです。
- 見積書の内容の明確さ
- 工事価格が適正か
- 内容説明があるか
この3つについて詳しく説明します。
- 見積もり内容の明確さ
見積書には基本的に、材料費・施工内容・金額が記載されてるため、明確に記載されているかを確認しましょう。例えば、「施工費 一式」とまとめて記載されている場合、詳しい内容が分からないため明確とは言えません。
- 工事価格が適正か
相見積もりを取らないと、高い金額を提示されていても分かりません。また、施工面積を実際より大きく計算されているなどのトラブルが発生するケースもあります。
そのため、相場を調べたうえで必ず相見積もりをとり、各社の見積書を見比べて適正価格かどうか検討してください。
- 内容説明があるか
見積書を作成する際には、きちんと現地調査をして現状を把握しなければいけません。
しかし、中には現地調査をせず、あとから追加請求をする業者もいます。トラブルを防ぐためにも、現地調査をしない業者は選ばず、施工内容をきちんと説明する業者を選びましょう。
この3つのポイントを押さえたうえで業者選びをしてください。
まとめ
今回は、塩ビシート防水の施工方法やメリット・デメリット、業者選びのポイントについてお伝えしました。塩ビシート防水は耐久性に優れており、定期的なメンテナンスが難しいマンションやビルにおすすめです。
しかし、施工の難易度が高く実績がない業者も多いです。施工実績がたくさんある場合、技術力はもちろんですが予期せぬことが起きた場合柔軟に対応してもらえます。
そのため、相見積もりをとり、施工実績が豊富な業者を選ぶようにしましょう。ぜひ、この記事を参考に安心して依頼できる業者を選んでください。