FRP防水の単価は?費用相場と工程、劣化のチェックポイントもご紹介
「FRP防水の工事費用ってどのくらいかかるの?」「どんなタイミングで修繕すればいいの?」「相場が知りたい。」
ベランダやバルコニー、屋上の防水工事について、このような疑問をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。
この記事では、FRP防水の単価や費用相場などを中心に、以下について分かりやすく解説します。
- FRP防水の費用と特徴
- ウレタン防水との違い
- FRP防水のメンテナンス時期と劣化のチェックポイント
FRP防水の単価や費用相場、目視で確認できるメンテナンスの目安などを知りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
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FRP防水とは
FRPは繊維強化プラスチック(Fiber Reinforced Plastics)の略称です。
ポリエステル樹脂と硬化剤の混合液を、ガラス繊維などの補強材(ガラスマット等)に塗りつけると、目に見えない細かな穴や隙間から混合液が浸透し、硬化します。このように、ポリエステル樹脂と補強材が一体となり、防水性の高いシームレスな防水層を形成できるのがFRP防水です。
FRP防水は耐衝撃、耐水性があり、ボートやバスタブなどにも使用されています。防水材を塗りつける工法のため、ベランダなどの狭く凸凹の多い場所にも施工可能です。また、耐久性が高く人や車の出入りの多い屋上などにも向いています。
ここでは以下の3点について解説します。
- FRP防水の単価・費用相場
- FRP防水の特色
- FRP防水とウレタン防水の違い
はじめに、FRP防水の単価・費用相場について解説します。
FRP防水の単価・費用相場
FRP防水の施工単価は、一般的に1平米(㎡)あたりで表されます。
FRP工法の費用相場は、1㎡単位で4,000〜8,000円程度が目安です。 |
FRP防水はベランダや屋上などのさまざまな場所に施工され、施工場所ごとに仕様も異なることから、費用相場に大きく幅があります。例えば、屋上駐車場では車の走行を見込んで耐久性を求めるため、仕上げの樹脂塗りの層を通常より厚くするなどです。
FRP防水の標準的な仕様は、ガラスマット2層による密着工法とされています。そのため、具体的な施工内容が決まっていない場合には標準的な仕様で見積もりを取り、検討するのがよいでしょう。
見積もりをとる際は、価格比較のためにも3社以上の防水専門会社へ相見積もりを取ることをおすすめします。
FRP防水の特色
次に、FRP防水の特色について解説します。
FRP防水の耐久年数は、10〜13年程度です。ほかの防水工事と比べ長くはないものの、強度があり摩擦にも強いため、戸建てのベランダ防水で最も使われています。
塗膜が早く固まるため工期が短く、何層も重ねて塗りつける場合でも1日で施工を完了できるのも特色です。FRP防水の構成は、一番下の土台となる下地、FRPで形成される防水層、コーティングするトップコートの3層からなります。
費用はやや高めですが、耐衝撃、耐久性、耐水性などに優れ、腐食などもない強靭な防水層を形成できます。また、植物の根も貫通しにくいため、屋上の緑化やベランダのガーデニングに向いています。そのほか、FRPは軽量な防水材のため、塗り重ねても建物に負荷をかけません。
一方で、紫外線に弱いためトップコートでの保護が必要です。また、FRPの素材はプラスチックのため、伸縮しない特性を持ちます。そのため、施工面が膨張したり、地震などで強く揺れたりするとひび割れる可能性があります。
FRP防水とウレタン防水の違い
FRP防水と同じく塗膜防水に分類されるウレタン防水は、液状のウレタン樹脂を下地に塗布し、硬化させる工法です。
近年の防水工事の中で特に施工実績が多い、主流の工法となります。
FRP防水とウレタン防水の違い
FRP防水 | ウレタン防水 | |
---|---|---|
単価(㎡) | 4,000~8,000円/㎡ | 3,000~8,500円/㎡ |
工期 | 1日 | 3~10日 |
耐用年数 | 10~13年 | 8~14年 |
向いている施工場所 | 形状が複雑な場所ベランダやバルコニー | 形状が複雑な場所ベランダやバルコニー |
向いていない施工場所 | 木造※木造は揺れが起こりやすいため | 人の出入りの多い場所 |
主な違いは、以下の4点です。
- 単価はウレタン防水が安い
- 工期はFRP防水が短い
- 耐用年数は両方ともやや短い
- 耐久性はFRP防水が勝るが、両方とも屋上防水に活用される
似た特色を持つFRP防水とウレタン防水ですが、一番の違いは価格と工期です。どちらの施工でも可能な箇所の場合、単価で選ぶならウレタン防水、工期で選ぶならFRP防水がよいでしょう。
FRP防水の施工工程とメンテナンスについて
ここからは、FRP防水の施工工程やメンテナンス時期、目視で確認できる劣化のチェックポイントについて解説します。
これらの知識があれば、実績不足や手抜きと思われる業者を見極められたり、不要なメンテナンスを避けたりできるでしょう。
FRP防水の施工工程
FRP防水では、前処理として防水工事を行う箇所の清掃を行います。その後、施工箇所を乾燥させFRP防水の工程にうつります。
FRP防水の施工手順は、以下の4つです。
- プライマー塗布
下地に、防水層との接着剤となるプライマーを塗布します。プライマーを塗らないと上塗りの塗装が剥がれやすくなるため、刷毛などを使用し均一な塗布が必要です。
- ポリエステル樹脂塗布(下塗り)
プライマーを塗布した部分に、防水用ポリエステル樹脂と硬化剤を混合した防水材を均一に塗布し、硬化させます。
- 積層工程(中塗り)
下塗り硬化後、再び防水材をむらなく塗布し、ガラスマットを貼り付けます。貼り付け後は直ちにガラスマットの上へ防水材を塗布し、脱泡ローラーなどで樹脂内部の気泡を除去します。仕様により、この工程を何度か繰り返します。
- トップコート塗布(仕上げ)
トップコートの定着をよくするために、サンドペーパーなどでヤスリをかけ、アセトンで拭き掃除を行います。乾燥後、トップコートを塗布して乾燥させます。
FRP防水材は乾燥が早いため、それぞれの工程を素早く行わなければ施工不良に繋がります。そのため、実績の豊富な業者選びが大切です。
FRP防水のメンテナンス時期
防水工事は完了後も徐々に劣化が進むため、施工後のメンテナンスも重要です。日光や雨水などに晒されるトップコートは、4~6年程度で劣化します。そのため、完全に劣化する前に塗り替えが必要です。
FRPの防水工事は、トップコートの塗りなおしだけでなく、その下の防水層のメンテナンスも指します。4~6年でトップコートの塗りなおし、施工から10年程度で防水工事での修繕の検討が必要と考えましょう。
FRP防水の寿命は10年以上ありますが、例えば雨の少ない地域の街中と、海風にさらされる海岸沿いでは環境が大幅に異なり、同じ年数でも劣化の進度が変わります。建物の寿命を縮めないためにも、1年に一度はチェックを行いましょう。併せて、施工から10年が経過したら業者による点検を行ってください。
FRP防水の劣化のチェックポイント
最後に、メンテナンスが必要なサインを4つ紹介します。目視で確認できるため、ぜひ参考にして劣化チェックをしてください。
- 塗装のはがれ
- 摩耗
- ひび割れ
- 水がたまる
FRP防水の劣化は、上から順に進んでいきます。また、早ければ塗装のはがれは防水工事完了から5年程度で起きてしまいます。なるべく劣化初期の段階で発見すればトップコートの塗布のみで済むため、修繕費用を抑えられるでしょう。
ガラス繊維が見えているかが、劣化のチェックポイントです。「ガラス繊維が見えている=FRP防水層が剥き出しになっている状態」のため、防水層の劣化が始まっておりメンテナンスが必要です。
また、床の傾斜に異常があれば水がたまります。防水層が劣化した状態でたまった水を放置すると、塗装や床材が劣化するため注意しましょう。
まとめ
FRP防水の費用相場は、1㎡あたり4,000~8,000円です。FRP防水は耐久性、耐水性など、多くの面で優れており、非常に強い防水層を形成できます。そのため、人や車の出入りの多い場所や、複雑な場所にも向いている施工方法です。
一方で、費用はほかの防水工事と比較してやや高めで、耐久年数は10~13年とあまり長くはありません。防水層の維持には、適切なメンテナンスが必要なため、年1回はチェックし、10年に1回は点検を行いましょう。「ガラス繊維が見えているか」が、劣化のチェックポイントです。