アスファルトルーフィングの耐用年数は?施工手順や注意点について解説
「アスファルトルーフィングがダメになっているので、修繕が必要ですね」
防水層の点検で業者にそう言われ、アスファルトルーフィングについて知りたい方もいらっしゃるのではないでしょうか。また、自宅の屋根材にアスファルトルーフィングが使用されていて、耐久性が気になる場合もあるかもしれません。
この記事では、アスファルトルーフィングの耐用年数や特色についてわかりやすく解説していきます。施工手順や注意点とともに、主なルーフィングも紹介しますので、選ぶ際の参考にしてください。
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アスファルトルーフィングとはどんなもの?
アスファルトルーフィングは、アスファルト防水工事で使用する建材です。ルーフィングとは、下葺材(したぶきざい)とよばれる防水シートを指します。
アスファルトルーフィングは、アスファルトを染み込ませたアスファルトフェルトの両面に、鉱物質粉粒をコーティングして製造されます。
ルーフィングは戸建ての場合は屋根材の下に敷くため、外側から見えません。そのため、品質が軽視されやすく、安いルーフィングが採用される傾向にあります。
屋根で最も重要な防水機能を担うアスファルトルーフィングは、建物にとって非常に重要な建材といえます。
アスファルトルーフィングの特色と注意点
アスファルトルーフィングは、アスファルトでしっかり防水するため、止水性は高いです。しかし、防水シートとしてのグレードは低く、価格帯としては最安値のルーフィングです。
耐用年数は10年程度で、あまり長持ちはしません。 |
また、湿気が透過せず、屋根の内部に結露などが生じるリスクがあります。結露は木材を傷めるだけでなく、カビやダニの繁殖リスクを高めるため、建物にとって非常に厄介です。
デメリットがあるものの、防水性に優れ安価なアスファルトルーフィングは普及率が高く、多くの戸建て住宅で使用されています。
戸建ての新築住宅で特に指定がない場合、JIS規格製品の「アスファルトルーフィング940」が使用されるケースが多いです。
新築から10年以上経過しているなら、メンテナンスのために専門家によるチェックを受けるのがよいでしょう。
防水層が傷み、修繕を行う場合、ほかのルーフィングでの施工を検討するケースもあります。チェックを受ける際は複数の防水専門会社に相見積もりを取り、比較したうえで依頼しましょう。
アスファルトルーフィングの施工手順
ここからは、アスファルトルーフィングの施工手順について解説します。
- 1mほどの幅でロール状になっているアスファルトルーフィングを、屋根の面積にあわせて並べる。
- ルーフィング同士に隙間ができないよう、重ね幅の指定ガイドよりさらに上下10センチ、左右2センチ以上重ねる。
- シートを並べたら、軒先(屋根の下部)から棟上(屋根の上部)へ、30センチごとにタッカーで釘を直角に打ち付け貼っていく。
※直角に打つことで、穴まわりの隙間が少なく浸水が防げる
注意点
- 下屋根と壁が合わさる部分は、20センチ以上立ち上げ処理をする。
- 軒先と棟先は雨水が溜まりやすいため、二重から三重に重ね付けして補強する。
近年、オーナーが自分で施工を行うケースも増えてきました。しかし、立ち上がりを隙間なく貼るのは職人でなければ困難です。ルーフィングの施工ミスは雨漏り被害につながります。建物を傷つけないためにも、経験豊かな職人に依頼するのがよいでしょう。
アスファルトルーフィング以外の選択肢はなにがある?
アスファルトルーフィング以外の選択肢には何があるでしょうか?各ルーフィングの特徴を比較しながら解説していきます。
各ルーフィングの特色を比較
主なルーフィングの特色と耐用年数を確認していきましょう。
各ルーフィングの特色と耐用年数
特色 | 耐用年数 | |
改質アスファルト ルーフィング | 耐久性・止水性に優れる普及している初期費用がやや高く、結露しやすい | 約20年 |
粘着層付き改質 アスファルトルーフィング | 釘などを使わず固定できる(漏水リスク低減)水密性・耐風性が高い形状が複雑な屋根に有効非常に高価 | 約30年 |
高分子系ルーフィング (合成ゴム・ 塩化ビニール) | 耐久性・透湿性・伸縮性に優れる工期が短い安価耐用年数が短い・屋根の形状を選ぶ | 約15年 |
透湿防水紙ルーフィング | 湿気を外に逃がすため結露しにくいヨーロッパで主流耐用年数が非常に長いやや高価・施工に時間がかかる | 約50年 |
不織布ルーフィング | 耐久性・柔軟性に優れる下地の形にあわせられる破れに強く、ひび割れも起こしにくい近年、注目を集めている高価 | 約30年 |
ルーフィングを選ぶときに気をつけたいポイント
ルーフィングには多くの種類がありますが、選ぶ際は以下の2つのポイントに注意しましょう。
- 防水工事の種類が異なる
- 屋根材との組み合わせによって効果が発揮できない
まず、ルーフィングによって、防水工事が異なる点です。たとえば、高分子ルーフィリングの施工は、シート防水と呼ばれる工事です。施工に必要な技術や費用が異なります。
また、屋根材との組み合わせも大切です。たとえば透湿防水紙ルーフィングは水蒸気のみ透過する施工方法のため、湿気の多い地域に向いています。しかし、屋根材とルーフィングに隙間がないと防水効果を発揮しません。スレート屋根など、一般的に野地板と屋根材の間に隙間を作らない工法では、湿気が逃げず性能を生かせないのです。
ルーフィングは、立地や建具の種類などさまざま要素で決まります。ルーフィングを選ぶ際は業者から提案をうけ、提案内容を判断する形で選ぶのがよいでしょう。複数の専門会社に相見積もりをとり、現場を確認してもらって専門家の意見を聞きましょう。
まとめ
アスファルトルーフィングは、アスファルト防水で使用される防水シートです。アスファルトフェルトにアスファルトを塗り重ねることで防水機能を持ちます。施工しやすく、単価も安いルーフィングで、耐用年数は10年程度です。新築の戸建てによく使われています。
耐用年数がほかのルーフィングよりも短いため、雨漏り被害につながる前にメンテナンス・修繕が必要です。今後のメンテナンスも考慮し、専門業者に修繕工事の相談をしてください。