シーリング防水工事とは?基礎知識や業者依頼について徹底解説
「あれ?ゴムみたいなのが剥がれてる。」「タイルの間の隙間が空いてるけど大丈夫かな?」
と、建物を見て気になったことはありませんか?
壁のタイルの継ぎ目(目地)や、屋上の端と壁の立上がりの間をつなぐゴムのようなものは、シーリング材と呼ばれています。シーリング材は、通常であれば弾性があり、剥がれたり、硬くなったりしていません。
今回は、シーリング防水工事について、種類や費用などの基礎知識をお伝えします。自分でシーリング防水工事をしたい方に向けて、施工手順や注意点、業者依頼をおすすめする理由も解説しています。
シーリング(コーキング)の劣化が気になる方は、ぜひこの記事を確認してください。
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シーリング防水工事とは?
シーリング工事は、防水工事の一種です。外壁のボード間の境目や、サッシと金具の間、屋上の平場と立上りの間をシーリング材で埋める防水工事を指します。
シーリング防水工事は防水性と伸縮性に効果を発揮し、雨漏りを防いだり、耐震性を高めたりと建物の強度を高めるために使用されます。シーリングとコーキングは呼び方が違いますが、大きな違いはありません。
シーリング材の種類
シーリング材の種類は大きく分けて、混ぜ合わせる必要がない「1成分形」と、2液を混ぜ合わせる「2成分形」の2種類があります。
1成分形シーリング材は、大きく分けて以下の3種類に分けられます。
- 湿気硬化型……空気中の水分で硬化
- 乾燥硬化型……シーリング材に含まれる溶剤や水分が揮発して硬化
- 非硬化型……内部は硬化せず表面に酸化皮膜を形成(マステイックタイプ)
主にカートリッジに充填されているため、充填ガンに装着するだけで使えるのが利点です。
2成分形シーリング材は、主剤と硬化剤の2液を専用の機材で混ぜ合わせる混合反応硬化型です。コスト面に優れる反面、撹拌不足による硬化不良など、技術不足による密着不良の可能性があります。
シーリングの施工手順
シーリングの施工手順は以下の通りです。
- 養生
被着面に食い込まないように気を付けながら、シーリング材を充填する際に、周囲へ不要なシーリング材が付かないよう養生テープを貼ります。
- プライマー塗布
プライマーは、施工箇所とシーリング材を密着させる接着剤のような役割を持ちます。シーリングには必須の工程で、ハケなどで塗り残しがないように塗布します。
- シーリング材充填
シーリング材を、充填箇所の底からゆっくりと、隙間なく充填します。
- ヘラによる仕上げ
目地幅に合ったヘラを使用して、周囲に合わせてシーリング材を平滑にならして仕上げます。仕上げ前に硬化しないように素早い作業が必要です。
- 養生テープ除去・清掃
シーリング材をならしたあと、すぐに養生テープを剥がし、溶剤などで周りを清掃します。
シーリングの劣化によるメンテナンスの場合、既存シーリングの上に充填する「打ち増し」は同じ手順でおこない、既存シーリングを取り除いて充填する「打ち替え」は、養生の前に既存シーリングの除去や清掃を行います。防水性や柔軟性を持続させるために、基本的には打ち替えを選びましょう。
シーリング防水工事の費用とメンテナンス
シーリング防水工事の費用相場とメンテナンス周期について解説します。こちらがマンションの屋上に防水工事を施工した場合の、施工面積に対するシーリング量の参考事例です。
施工面積 | シーリング量 |
134㎡ | 約45m |
159㎡ | 約93m |
なお、マンションの形状や、設置物によりシーリング箇所は変わるため、正確な費用を知りたい場合は業者に見積りを依頼しましょう。
シーリングの費用相場
シーリング防水工事の費用相場は以下の通りです。
施工方法 | 1mあたりの施工単価 |
新規・打ち替え | 900~1,200円 |
打ち増し | 500~900円 |
前述の施工事例を参考に、シーリング施工量45m(屋上面積134m2)の場合の施工費用を紹介します。
- 新規・打ち替え……40,500~54,000円
- 打ち増し……22,500~40,500円
このほか、シーリング工事のみ依頼すると、足場の設置費用などの諸経費も必要です。
シーリングのメンテナンス周期
シーリングの寿命は5〜10年です。正常なシーリングは、指で押すと跳ね返るような弾力性をもっています。そのため、壁との間に隙間が空く、シーリング材が石のように硬かったり、ひび割れたりしているなどは、シーリングが劣化しているサインです。
シーリングは、紫外線や雨風の影響で寿命より早く劣化する場合があり、定期的な点検が必要です。シーリングの劣化を放っておくと、隙間から雨漏りが発生する危険性もあるため、早期に補修を行いましょう。
シーリング防水工事のメンテナンスは業者依頼しよう
シーリングのメンテナンスはDIYでも可能ですが、業者への依頼をおすすめします。
個人で行う増し打ちの方法では、傷んだシーリング材を取り除けずに、修繕効果は一時的な場合が多いからです。また、シーリング材は種類が多く、DIYで施工したシーリング材が防水層と相性が悪く、メンテナンス時にトラブルを引き起こす可能性もあります。
一方、防水工事の専門業者に依頼すれば、専門知識と正確な技術で、長期的に高い防水効果が得られます。また、シーリング防水工事のメンテナンス周期は5〜10年のため、他の防水工事のメンテナンスと同時に行うことができ、見積もりや施工依頼を個別でする手間もありません。
メンテナンス業者選びの際には、最低3社に相見積もりを取り、相場からかけ離れていないか、実績のある業者か、見積もり内容の説明が丁寧かなどを確認しましょう。
まとめ
今回は、シーリング防水工事について、シーリング材の種類や費用相場、DIYをした場合はどうなるのか?をお伝えしました。
シーリング防水工事に必要なものはホームセンターで簡単に購入できるため、少しの場所ならDIYをしたい、と考える方は多いかもしれません。しかし、DIYで施工したシーリングが、後々トラブルを引き起こすリスクもあるため、この記事を参考に、最適な方法を選んでください。